使用中の点検、廃棄基準および廃棄の実例

点検箇所 点検項目 点検方法 廃棄基準 廃棄の実例

全体

キンク プラスキンク(よりの締まる方向のキンク)やマイナスキンク(よりの戻る方向のキンク)の有無を点検する。 局部的によりが詰まったり、戻ったりしてキンクを発生したもの。
つぶれ
(偏平)
局部的に押しつぶされた部分がないか点検する。 局部的な押しつぶしによる偏平があるもの。ノギスで短径dmin及び長径dmaxを測定したとき、dmax/dmin≧1.5となったもの。
【参考】つぶれによる強度低下率
①程度が軽い場合は、殆ど無い
②上記廃棄基準に達した場合は20~40%
腐食、錆 表面の腐食の有無を確認する。有れば布地で拭いて取れる薄い錆か、表面に凸凹が生じているかを調査する。
内部はスパイキ等でストランドを持ち上げて調査する。
素線表面にピッチングが発生して、あばた状になったもの。
内部腐食によって素線が緩んだもの。
【参考】腐食(赤錆)による強度低下率
①程度が軽い場合は、10~20%
②著しい場合は、40%以上
磨耗 全長、全周にわたり摩耗の状況を点検する。 素線と素線の隙間がなくなったもの。
(右表の減少率は公称径に対する値)
うねり うねり有無を調査する。 著しくうねっているもの。
又は局部的なうねりの幅(d1)がロープ径(d)の4/3以上になったもの。
ストランドの落込み、浮き ストランドの落込みや浮きがないか点検する。 ストランドの落込み、飛び出し、かご状のものがあるもの。
きず 全長、全周にわたりきずの有無を点検する。 有害な欠陥が認められるもの。
その他 心鋼のはみ出し、曲がり、素線の飛び出し、テンパーカラー等の有無を点検する。 心鋼のはみ出し、曲がり、テンパーカラーのあるもの。
断線 全長、全周にわたり断線の有無を点検する。
ある場合は、山切れ谷切れの状況を入念に調査し断線本数を数える。

C:クラウン断線(ロープ外接円と接する部分〔山断線〕の断線
N:ニップ断線(ストランド相互が接する部分〔谷断線〕の断線)
[クラウン断線(山切れ)の場合]
ロープ径(d)の6倍(約1ピッチ)の範囲内の断線を数え、使用されているワイヤーロープの構成を確認して下表の断線以上あるもの。

《ニップ断線(谷切れ)の場合1本であるもの》

加工部分、アイスプライス、アイ圧縮止め

形くずれ アイ部分にストランドの緩み等の形くずれや偏平、ロープのずれ等がないかを点検する。 ・アイ頂点部で、著しく心鋼の飛び出したもの。
・アイ頂点部で、著しくつぶれを生じたもの。
・アイ部分で、ストランドの緩みがあるもの。
断線 ロープを曲げたりしてアイ部分やスリーブ付根部分の断線の有無を点検する。 加工していない部分の可視断線数に準じる。
抜け出し ・アイスプライス:ストランドの抜け出しの兆候がないか点検する。
・アイ圧縮止め:片端に凹みが生じたり、抜け出しの有無を点検する。抜け出しの点検は目視、マーキング等による。
・差し終り部でストランドの抜け出しがあるもの。
・片端に凹み、抜け出しのあるもの。
スリーブの変形 スリーブに変形、つぶれ、亀裂および割れ等が発生していないか点検する。 スリーブの変形、つぶれ、亀裂、割れ等があるもの。
スリーブの磨耗 スリーブの磨耗状況を調査する。 スリーブが磨耗してもとの径の95%以下になったもの。
その他 腐食、きず等がないか点検する。 著しい腐食、きずが認められるもの。

付属金属

  変形、きず、き裂、摩耗及び腐食等がないか、有ればその程度を点検する。 ・曲がり、ねじれ、ゆがみ、当たりきず、切り欠ききず、き裂が認められるもの。
・摩耗量が元の寸法の10%を超えるもの。
・全体に腐食、又は局部的に著しい腐食があるもの。